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合成樹脂用語集(試験・物性編) |
アイソット衝撃試験 Izod impact test |
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金属やコンクリートに使用されていた試験法をプラスチックに移植したもので,厚さの方向の衝撃強さを測る試験法。主に材料の基本的な性質をみるために使われており,プラスチック材料の衝撃試験法として最も広く使われている。
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A |
振子のおもりを利用して試験片を破壊し,そのときの,破断エネルギフを測って衝撃強さとしている。(試験法)
・一端を固定した試験片を振子型のハンマーで打撃し破壊に要するエネルギーの大小により材料の耐衝撃性を評価する。
・ハンマーの持ち上げ角,振上げ角,ハンマーのおもり,振子の長さなどから算出した破壊エネルギーEを求め,試験片のノッチ部を幅bで割った値がアイソット衝撃強さ(値)である。
アイソット衝撃強さ(値)=E/b E:破断エネルギー(kg ・ cm) b:試験片ノッチ部の幅(cm)
・アイソット衝撃強さの(値)の二つの表わし方 kg・cm/cu・・・衝撃に要したエネルギーを試験片ノッチ部の断面積で割った値で表示したもの kg・c・/cm・・・衝撃に要したエネルギーを試験片ノッチ部の幅寸法で割った値で表示したもの
・材料の耐衝撃性すなわち落したりハンマーでたたいたときのこわれにくさの目安となるもので値が大きいほど耐衝撃性が大きいことを示す。
・単位・次元の持つ意味 衝撃強さは,破壊エネルギー,すなわち衝撃破壊に要したエネルギーの破断面を断面積で割った値,kg・cm/cuで示されるが,通常は破断面の幅で割った値,kg・cm/cmで示される。
〔アイソット衝撃試験の場合,両者の差は1.6%しかなく,実用上ほとんど問題なし,(正確には幅b(cm)だけで割った方が値として1.6%だけ大きくなる。)〕
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ESCR Environmental stress cracking resistance |
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耐環境応力き裂のことをいう。
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A |
環境によって促進される応力き裂のことで,“ストレスクラッキング”ともいい,特に溶剤によって起こる場合は,溶剤き裂といい,それに対する抵抗時間をいう。
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ISO |
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国際標準化機構(International Orgnization for Standardization)の略称である。
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A |
試験法の国際的な統一を目標にして作られ, JISやASTMにも採り入れられている。
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B |
代表的な国際規格である。
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異方性 Anisotropy |
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膨張係数,強度,屈折率などが結晶軸の方向,又は,樹脂の成形時の流動方向,補強材の配列方向などによって性質が異なることをいう。
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ウェザーメーター Weathermeter |
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耐侯性試験の一種で,カーボンアークランプ(太陽光線の波長に類似)の回りに内面に試験方を取りつけたドラムを回転させ,輻射エネルギーを一様に照射させるとともに,スプレーにより一定周期をもって降雨を与え,更に送風によって温度の調節ができ,屋外暴露の場合と類似の促進劣化を行わすことができる。
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A |
Weather-O-Meterはアトラス社の商品名で, ASTMでも推奨している。
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永久ひずみ Permanent strain |
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材料に外力を加えて変形させる過程で,応力が弾性限界内である間にこれを取り去れば,ひずみは完全に消失する。弾性限度より大きい応力を加えて後,これを取り去ればもはやひずみは完全に消失せず、その一部あるいは大部分が残る。これを“永久ひずみ”という。
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SI系単位 International system of Units |
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CGS系,ヤード・ポンド系等各国で思い思いに使用されている単位を国際的に統一しようとして生まれた国際統一単位。 JISも同単位に移行中(現在,既存単位と併記)している。
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A |
例示:力,応力の場合のSI系単位にN(ニュートン),Pa(パスカル)が用いられ,それぞれCGS系から容易に換算できる。
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ASTM American Society for Testing and Materials |
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アメリカ材料試験協会の略称
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A |
各種材料・研究を行いここで判定している。
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B |
ASTM規格は,世界的に権威あるものとして基準とされている。
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C |
我が国でもJIS (日本工業規格)のないものはASTM規格が基準として使用される場合が多い。
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SP値 Solubility Parameter value |
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溶解度係数のことで,配合するポリマー同志の分子間に働く力の目安になる。
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A |
溶解度パラメーターが近いポリマー同志は,溶けやすく,溶解度パラメーターが極端に異なるポリマー同志は,溶けにくく相分離を起す。
〈解説〉
従来,ポリマーブレンドを考えたりする場合,極性や親和性の概念が使用されていたが,最近はSPの考え方が導入されている。
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FDA Food and Drug Administration |
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アメリカの保健教育厚生省が制定している食品・薬品などに関する世界的に権威ある規格である。
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A |
この規格の中には食品包装材料としてのプラスチックフィルムの使用の適否や品質規定なども含まれている。
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MD Machine Direction |
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プラスチック成形・成形品において,樹脂の流れ方向に平行な方向をいう。“流れ方向,たて方向”ともいう。
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A |
流れ方向と直角の方向(よこ方向)をTD (Transverse Direction)という。
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エレメンドルフ引裂試験 Elemendorf tear test |
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引裂き強さを測定する試験法の一種である。
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A |
鉄製板上に取り付けられたフレームに扇形ハンマーが懸垂され,フレーム及びハンマーに装置された一組のつかみ具で試料をつかみ一定の高さよりハンマを振り下げて試料を引裂き,引裂きに要した最大荷重より引裂き強さを求める。
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黄変 Yellowing |
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光,熱,化学薬品,空気中の酸素などの作用によって材料が黄色に変色することをいう。
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A |
ポリオレフィン系樹脂を夏季(高温・多湿の条件下)に長期にわたって保存した場合に見られることがある。
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応力 Stress |
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物体に外力(荷重)が加わるとき,その物体内に生ずる抵抗力をいう。
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A |
平衡状態にあるとき,外力と内力とは相等しい。荷重の種類によって,せん断応力,引張応力,圧縮応力に分けられる。一般にkg/cu又はkg/muの単位で表わす。
・外力のかかり方でこの物体に生ずる応力とひずみ(変形)の基本的タイプは、@引張り応力A圧縮応力Bせん断応力 の三つに分類することができる。
・物体に外力を加えるとその力の種類,方向,大きさ,外力のかかり方などによって異なった反応を示す。すなわち,物体にはその力に対抗して,内部応力じ発生し,外力とつりあった状態となっている。
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応力緩和 Stress relaxation |
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高分子物質を一定の変形に保つとき,応力が徐々に減少する現象をいう。
〈解説〉
a. ゴムを引張ったままにしておくと,だんだんと元に戻る力が減ってくる。つまり弾性が小さくなってゴムがきかなくなってくる,つまり応力が減ってくる。このような現象を“応力緩和(stress relaxation)”という。定義づけると「物体に変形を与えてそのままにしておくと,応力が減少する」現象である。いいかえると外力によって物体内部に流動が起こり,ばね(スプリング)の力がゆるんだのである。
b. この応力緩和とクリープは別のもので、応力緩和は一定変形(ひずみ)の場合,“クリープは一定外力(荷重)の場合”に起こる現象であることに注意されたい。卑近な例でいえば,「ゴムひもを引張るとき,一定の長さに引張っておいて,元にかえそうとする力(応力)が次第に減っていく状態が応力緩和であり,ゴムひもに一定の重さをぶらさげておくと時間とともにだんだんと伸びていく状態を示したものがクリープである」
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応力−ひずみ曲線(S-Sカーブ) Stress strain curve |
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物体に働く荷重によって内部に生じる応力とひずみの関係を表わす曲線をいい,試験片を変形したときの応力と変形量の関係に相当する。
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A |
主として物体材料の弾性限界,降状点,極限強ざ,伸び率など材料のもつ機械的性質を調べるのに用いられる。
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B |
例えば,引張り又は圧縮試験で,荷重を0から静かに増加してゆくときのひずみε(%,伸縮量/試験片原長)と応力<σ (kg/cu,荷重/試験片原断面積)の関係を“公称応力−応力ひずみ曲線”という。これに対して真応力(荷重を変形した各瞬間の真の横断面積で除した値)とひずみの関係を“真応力−ひずみ曲線”と呼び,一般には前者がよく使われている。極限強さ,破断強さもこ曲線上に示すことができる。
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屋外暴露試験 Outdoor exposure test |
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材料の屋外使用の適否を判定するための耐候性試験の一種である。
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A |
一般に南西45度の傾斜をもつ屋外の支持台に試験片のまま,又は一定の伸張条件でとりつけ,日光,風雨にさらす試験をいう。
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B |
公的な試験場として,日本ウエザリングテストセンター(千葉県,銚子),フロリダ・アリゾナ(米国)がある。
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